第27回 ヨーロッパ小児整形外科学会記

千葉県こども病院整形外科
亀ヶ谷真琴

第27回ヨーロッパ小児整形外科学会は、4月9日から12日までの4日間ポーランドのワルシャワ(会場:Hilton hotel, Warsaw)にて開催された。今回の学会は、EPOSのpresidentであるProf. Ippolito(イタリヤ)とLocal hostであるProf. Napiontek(ポーランド)を中心に企画された。
9日には、pre-meeting courseとして、Dega osteotomyを題材に、手術方法の紹介とCDHやCP症例に対する同手術の長期成績が報告された。Dega osteotomyについては、以前からPemberton osteotomyとの違いがはっきりわからなかったが、今回のcourseに参加したことでそれらの違いを理解できた。

10日の学会初日は、前半に“Hip in Adolescence”に関する演題があり、それに先立ちPlenary LectureとしてProf. Millisが“Surgical dislocation”について、Prof. Tannastが“Periacebular osteotomy”についてそれぞれ20分ずつの講演を行った。後半は、筋・神経疾患と上肢に関する演題があった。
11日(2日目)には、外傷、スポーツ、下肢再建術などの演題があり、後半の最初にはProf. Molenaersの“CPに対するBotulinum Toxin-Aの効果”についてのPlenary Lectureがあり、その後にペルテス病、脊椎、感染症に関する演題が続いた。
12日(最終日)は、Prof. Romanowskiによる“Radial longitudinal deficiency”についてのPlenary Lectureから始まり、腫瘍、先天股脱、足部変形についての演題が続き、午前中にすべてのプログラムが終了した。今回のプログラムでは、Plenary Lectureが4題、Oral presentationが77題、Poster presentationが100題の計181題が採用された。その中で、日本からの演題は、残念ながら筆者と筆者の後輩医師の二人であった。

学会初日の午後には、ワルシャワ市内観光があり、最近再現された旧市街地や第二次大戦に関するモニュメントを見学した。会場のHilton hotelは市の中心部にあるが、その周囲は今まさに再開発の真っ只中であった。また、学会2日目の夜には、ワルシャワ近郊のカントリーハウスにて晩餐会が催され、民族衣装に包まれた踊り子たちによる民族舞踊と伝統的なポーランド料理を堪能した。

ワルシャワは、過去に何度となく隣国の侵略を受け、そのたびに壊滅的な打撃を受けてきた。今回pre-congress tourとして、Auschwitz強制収容所後を訪れる機会を得たが、その中には多くのこどもたちが犠牲になったことが記されていた。こどもたちが自由にかつ健全に生きるためには、まず平和であることが絶対条件であることを再認識した次第である。来年の同学会は、ポルトガルのリスボンで開催予定である。