2013年EPOS報告

EPOS 2013 に参加して

 センター 整形外科 二見 徹

 

第32回EPOS ヨーロッパ小児整形外科学会は2013年4月17日~20日にギリシャのアテネで開催されました。
筆者にとって今回初めての参加でしたが、今後もまた参加したくなるような、なかなか有意義で楽しい会であったと思います。

参加者は約300名程度でした。ヨーロッパ各国のみならず、北米をはじめ中近東、アジア、オセアニア、アフリカからも多くの参加者があり、小児整形外科医における本学会の人気が伺えます。

特に、アメリカから著名な小児整形外科医が多数参加していたこと、また、アジアからは韓国、中国の参加者が多く、特に韓国はoral presentation 3題、poster7題と非常に積極的に発表されていたことが印象的でした。
日本からはoral 1題、poster 1題と若干寂しい状況で、参加者も3名に留まっていました(佐賀:和田先生、沖縄:金城先生、筆者) 。
今後JPOAからも積極的な参加が必要に思います。

学会会場はヒルトンアテネでした。基本的にはメイン会場で全員が演題を聞くパターンですが、2日目の午後はテーマ別のシンポジウムが組まれており、A会場:内反足、B会場:脊椎、C会場:股関節とテーマ別に3会場に分かれていました。筆者はC会場に参加しましたが、ペルテスの遺残変形とFAI、症状のない思春期臼蓋形成不全への対応、辷り症とFAIの関連およびその治療の3セッションからなり、白熱した議論が展開されました。
発表、質疑応答はもちろん英語ですが、POSNAと比較すればよりinternationalな会であるためか、ややスピードを抑えて聞き取りやすく、nativeでない参加者には都合のよい環境です。
筆者はDDHのMRIに関する口演を行いましたが、反響はまずまずというところでした。また、次演者であるDr. Terjesen (Norway) と一緒にならんで質疑応答を受ける形式で何とか無事クリアできました。

EPOSの全体的な印象としては、新しいアイデアやアプローチを重要視しているところで、large seriesで結論を導くスタイルにはあまりこだわっていないようです。なお、bestoral presentation はシンガポールからの発表となりましたが、よいものはよいと評価するfairさも感じました。

ギリシャに行く前、やはり経済破綻による治安の悪化などを心配していました。しかし、限られた滞在日数でしたが、少なくとも筆者にはまったくその気配を感じることなく、公共交通機関をフルに使い、夜のアテネを徘徊したりと極めて楽しく心地の良い滞在ができました。
ギリシャはやはりイデオロギーの国なのでしょうか、基本的には真面目で思慮深い、親切な人が多かったように感じました。また、魚介類の豊富なギリシャ料理は日本人にとてもあうと思います。

2014年のEPOSはベルギーのブルージュで開催されます(4.2~4.5)。世界遺産都市であるブルージュへ、皆さん奮って参加をお考えになってはいかがでしょうか。
ただし、一つ問題もあります。筆者の現在のちょっとした悩みは家内にまた一緒に連れて行ってくれとせがまれていることです。
これもやはりヨーロッパの魅力からなのでしょうか(仕方ないですね)。

 

滋賀県立小児保健医療